大成建設が、環境配慮型コンクリート(T-eConcrete)を、自社施設以外では初めてとなるSMC下妻第2工場の門塀に適用した。
目次
技術内容
回収したCO2をカルシウムが溶解した水溶液に注入し、CO2を吸収した炭酸カルシウムを製造する。
CO2を吸収した炭酸カルシウムと高炉スラグに砂、砂利などの骨材、水、反応剤などを加える。
投入した材料をミキサーで練り混ぜ、T-eConcreteが完成する。
セメントの代わりに加える産業副産物などの配合状況により、「建築基準法対応型」、「フライアッシュ活用型」、「セメント・ゼロ型」および「Carbon-Recycle」の4タイプがある。
- 建築基準法対応型
セメントを減らし、代わりに高炉スラグを使用する。
建築基準法に準拠した建物の建設に適しています。 - フライアッシュ活用型
セメントを減らし、代わりに高炉スラグとフライアッシュを使用する。
石炭火力発電所から生じる産業副産物である石炭灰の有効活用が図れる。 - セメント・ゼロ型
セメントを全く使用せず、高炉スラグを特殊な反応剤を用いて固めます。 - Carbon-Recycle
セメントを全く使用せず、炭酸カルシウムなどCO2を吸収したカーボンリサイクル製品を、高炉スラグと特殊な反応剤を用いて固める。
「セメント・ゼロ型」では製造過程で生じるCO2を最大80%削減でき、「Carbon-Recycle」では、コンクリート内部にCO2を固定することにより、CO2排出量(吸収・排出の収支)をマイナスにすることができる。
事業化計画・スケジュール
T-eConcreteは既に商用化されており、2022年9月に自社施設以外では初めてとなるSMC下妻第2工場の門塀に適用した。
T-eConcreteは、2021年2月の開発以降、自社施設の壁部材、現場打ち舗装および舗装ブロックに適用されてきた。
この際の製造・施工のノウハウを基に、本材料を自社施設以外の構築物に初適用した。
T-eConcreteは高いポテンシャルを持ちながらも、コスト面でのメリットづくりや建設時のルール整備が追い付いていないことから、現状は普及は進んでいない。
実施企業・連携先
- 大成建設株式会社
補足情報
ENEOS:CO2からの液体合成燃料一貫製造プロセス技術開発
ENEOSが、NEDOのグリーンイノベーション基金事業(GI基金)に採択され、CO2を原料とした合成燃料の製造技術開発を進めている。逆シフト反応によりCO2、水素から合成ガス(CO、H2)を生成し、FT合成により合成粗油を製造する。合成粗油を精製し、ガソリン、ジェット燃料、軽油等の液体燃料を製造する。
大阪ガス:米国中西部でバイオマス由来CO2を用いた合成メタン製造
大阪ガスの米国子会社が、現地エネルギー企業、バイオエタノール企業と、米国中西部で合成メタン(e-メタン)製造事業の実現可能性検討を開始した。2030年までに、合成メタンをフリーポートLNG基地にて液化し日本へ輸出する事も視野に、年間最大20万トンの合成メタンの製造を開始することを目指している。
積水化学工業:可燃ごみをエタノールに変換する実証プラントを建設
積水化学工業がLanzaTech社(米国)と共同開発した、微生物を活用して可燃性ごみをエタノールに変換する技術(BRエタノール技術)の実証事業の実施を進めている。標準的な規模のごみ処理施設が処理するごみの1/10程度の量(約20t/日)を原料とし、エタノール1~2kL/日を生産する。